スタッフのひとりごと
モーリタニアの静と動。Samiの目。
アフリカはSamiの中で一番興味がある大陸。
未知な事が多すぎる。
だから発見も多く、得る物も大きい。
まぁ、これはアフリカに限ったことでは無いけど、
アフリカは特に。
タコの漁獲量が世界第5位、でもタコは食べない国。
モロッコに引き続き、アラビア語が公用語やけど、
フランス語が喋れる人も多い。
モロッコよりも、濃くて甘いミントティーを飲む人々。 男達の民族衣装が、いい感じにSamiのツボ。
砂漠とラクダ。ラクダのミルクも飲む。
モーリタニア。
Samiがこの国に来る前に、気になっていたものがある。
それが、世界一長い貨物列車。
全長、3㎞にも及ぶ列車がモーリタニアの砂漠を駆け抜ける。
鉄鉱石を運ぶ列車で、最後の1両だけが客車。
そして、この列車、
鉄鉱石を運ぶための貨車にはタダで乗れるらしい。
乗った旅人曰く、
「すごい騒音と衝撃と砂で、座っているのも大変」
だとか、
「夜は極寒で、一睡もできなかった。」
だとか、
「一緒に乗っていたモーリタニア人たちが、貨車の中でミントティーを入れたり、
料理をして、振舞ってくれた。」
だとか、
「夜空に瞬く星の量が本当にすごい。」
だとか。
気になる。
列車に乗ることは決めていたけど、
安定の客車か、アドベンチャーな貨車か。
駅で列車を待っているときに決めた。
「貨車。」
そう決まったら、他に貨車にのる現地人を探す為、
いろんな人に話しかけてみる。
そんで、出会った青年2人。
毛布を抱えて、貨車に乗るらしい。
Sami「私も一緒に乗っていいですか?」
青年「OK! 毛布持ってる?ジャケットは?」
Sami「ジャケットは持っているけど、毛布は無い。」
青年「あー、無理、無理。死ぬよ。」
Sami「!!!!!!!!!」
「えー、じゃあ、私も一緒にその毛布使わせて下さい。」
青年「OK!」
ってことで、過酷な移動やけど、楽しみになってきた。
ワクワクしていたら。
「列車が来たよー。」
って、さすが世界一長い列車。
すごい迫力とスピードで目の前を走り抜けていった列車は、
いつまで経っても停まらない。
気づいたら青年のうちの一人がSamiの荷物を持って、
「ついてきてー!」
って走り始める。
そんで、そこら辺で待っていた他の大勢の乗客がみんな同じ方向に走っていく。
みんなの行きつく先は、
たった一両しかない客車の小さい小さい入口。
もー、すごい。
順番なんかない、男も女も、力尽くで我先に!って。
人の丸い塊が、小さい小さい入口に押し合い圧し合い、ゆっくり列車に飲み込まれていく。
他人事のようにそれを見ていたSami。
「あっ!!!!」
Samiの荷物を持った青年が器用に入口から客車に入っていくのが見えた。
「んん・・・・????」
あれ?貨車にのるんじゃなかったっけ?
荷物をどこかに置いてきたらしい少年がSamiの前に戻ってきて、
「早く!」
って手を差し伸べてくれる。
「えいっ!!!!!」
Samiも人の塊にめり込まれる。
わー!!すごい!
何もしなくても体が自動的に入口のドアに近づいていく!
ドアの前に着いたら、後ろにおった大きいおばちゃんが、
ヒョイっとSamiのお尻を持ち上げてくれた。
すっごーい、人間のエネルギーを一瞬にして体いっぱいに感じた!!
青年に付いて行ったら、Samiの分も席を確保しといてくれた。
訳も分らず、流れに任せたら。
こうなった。
まぁ、いっか。
ありがとうって青年たちにお礼を言って、 周りの人達にあいさつをしていると、
「ガターン!!」
すごい音と衝撃で列車が進みだした。
列車が止まったり、進んだりする度に。
「ガターン!!!」
そんな中で、乗客は、ガスボンベとヤカン、お茶セットを持ち込んで、
ミントティーを作り出すものだから。
列車が止まったり、進んだりする度に。
作りかけのミントティーや、グラスに注いだミントティーがそこら中にぶちまけられ、
水が入ったボトルが倒れて、床に流れ出し、
誰かが飲んでいた牛乳がこぼれ、
上から荷物が落ちてきて、
もー
その度に、客車の中はすごいことに。
その度に、乗客、主にミントティーを振舞っていた人達が自分のカバンから
Tシャツやタオルを取り出し、それで水浸しの床を拭き、
拭き終わったら、窓からポーイ。。。
いいのかなぁ??
見とるこっちが心配になるけど、みんなは気にすることもなく、 人のTシャツを奪っては床を拭き、
「捨てるで?」
って一応聞いて、ポーイ。
普通なんやなー
窓からは大量の砂が入ってきて、すぐに顔も体もジャリジャリ。
続く騒音。
床で寝そべる人、
何回吹き飛んでも気にせずミントティーを作って、
振舞う人たち。
全力で泣く赤ちゃんとあやすお母さん。
持っていたお菓子を泣く赤ちゃんにあげる青年。
時々起こる喧嘩と仲直り。
とりあえず、目の前では常に何かが起こり、常にすごい音が耳の穴を震わせる。
夜、眠れるわけもなく、
列車が止まったのを見はからって窓から顔を出してみる。
人の熱気がムンムンの室内とは対照的に、外はヒンヤリ。
そんで、すごい星!!!
明け方、列車はSamiが降りる駅に到着した。
お世話になった青年や、周りの人達にお礼とお別れを言い、
再びすごい音で去っていく列車を見送る。
あー。
結果オーライ。
楽しかった、世界一長いモーリタニアの貨物列車の客車!!
次の日。
またいろんな出会いがあり。
Samiは炭と水とミントティーセットを持って夕日の沈む砂漠に向かって歩いていた。
一番夕日がきれいに見える木の下を陣取って、
砂漠に落ちているラクダの糞の乾燥したのや、小枝を拾い。
それを火種に火をおこし、炭を置いて。
ゆーっくりミントティーを入れて。
ゆーっくり沈んでいく夕日を眺め、
風が耳にあたる音を楽しむのでした。
この両極端なモーリタニア。
モーリタニアの動と静をお腹いっぱいに満喫した。
優しい人々も、
何杯も何杯もご馳走になった甘くて濃いミントティーも、
甘いラクダのミルクも、
洗濯したら5分で乾いてしまうことも、
風になびく民族衣装も、
人懐っこい子供たちも、
世界一長い列車も、
夕日が沈んだ後の涼しい砂漠も、
動と静も。
モーリタニアにも、Samiの大好きはいっぱいあった。
出会ってくれたみんな、ありがとう。
おまけ。
ラクダのうんこ。